善戦むなしく惜敗。ワールドカップ北中米大会、決勝トーナメント(ノックアウトステージ)初戦、対ブラジルで1-2で敗戦した日本。先制するも後半はブラジルの勢いに対し防戦一方。試合終盤のアディショナルタイムで力尽きた。
予選リーグでは強豪のオランダ、北欧の雄スウェーデンとドロー。チュニジアには大勝。トータルで1勝1負2分けの結果で終わったが、数字以上に日本のサッカーの良い面が見る側に大きく伝わった大会だった。
日本は、1998年フランス大会以降、8大会連続でワールドカップに出場している。今大会は出場国の枠を32カ国から48カ国に広がり、決勝トーナメントも32カ国で争うこととなった初めての大会であった。そのため各地域、とりわけアフリカとアジアの出場国枠は大幅に増え、日本はアジア予選を早々に突破、開催国を除き世界で一番乗りでワールドカップ出場を決めていた。
日本はワールドカップ8回出場しており、そのうち5回は予選リーグを突破、決勝トーナメントに進出している。しかし決勝トーナメントではまだ一度も勝ったことがない。くじ運もあるだろうが、事実として世界の高い壁に跳ね返されている。トーナメント初戦がブラジルでなかったら…と思わないでもないが、これを言ってもしょうがない。他を見渡すと、今大会も強豪で優勝候補であったドイツやオランダもトーナメント初戦で敗退した。日本は「あくまでも優勝が目標」ということだが、まず悲願でもあるこの決勝トーナメントでの1勝を見たい。
ワールドカップを舞台としたブラジルとの対戦は、今回で2度目。初めての対戦は、2006年ドイツ大会の予選リーグ3戦目。そう、日本が決勝トーナメントに進出できなかった3回の内の1回の大会である(もう1回は初出場の1998年フランス大会)。この時は1-4で日本の完敗。当時の日本チームの顔であった自分と同世代の中田英寿が、この試合終了後29歳の若さで現役を引退したことでも思い出が残る。
この2006年ドイツ大会は、もう一つ強烈な記憶が残る。決勝のイタリア対フランス。前後半でも延長戦でも決着が着かず、PK戦の結果かイタリアが優勝した。この試合、もう一つの側面があった。フランスの司令塔、英雄ジダンの引退試合でもあった。この試合をもって引退することを決めていたジダンにとっては、現役最終戦をワールドカップ決勝という、文字通り有終の美を飾るにふさわしい最高の舞台でもあった。
しかし事件が起きた。試合終盤、相手選手から出自をなじられたジダンはカッとなってその選手の胸に頭突きを食らわせ一発レッドカード。こうして現役最終戦のピッチから去る形となった。
PK戦で力尽きたフランスにとって、この2006年ドイツ大会での決勝は、思い出したくない過去の事実。一方のイタリアにとっては、2006年の大会は過去の栄光として国民の胸に刻まれているだろう。しかしイタリアはここ3大会連続でワールドカップ本大会の出場を逃がしている。今回も出場していない。あのイタリアが、である。
自分のワールドカップに対する個人的な記憶と思いの一部を書かせてもらった。様々なドラマがあるサッカーワールドカップ。過去の大会から連綿と続くストーリ。本当に面白い。