時は平成30年2月25日日曜日。曇り空の中、東京マラソン2018に参戦。2年振り3回目のチャレンジ。12倍という競争倍率の中当選した今回は、前回よりコースが変更となり、初めて地元の深川路を走るとあって、興奮の中レース当日の朝を迎えた。
小池都知事による号砲直後のスタート地点付近。 |
というのはほとんどウソ。過去2回はそれなり準備をして臨んでおり、テンションが上がって前夜はなかなか寝付けなかった。しかし今回は今までで最も調整ができていない、明らかに準備不足。目標タイムの5時間切りどころか、完走すら厳しいのではと思っていた。年明け後はだいたい週に20km程は走っていたものの、直前の1週間は全く身体を動かすことができなかった。唯一の調整は前日を休肝日にしたことくらい。不安だらけの当日だった。(テンションが上がらなかったおかげで、前日はゆっくり眠ることはできた。)
過去2回よりも有利な点が2つあった。
一つは、過去2回走ったという経験。マラソンこそ経験がものをいうスポーツだ。なぜなら準備段階では、けっして42.195kmは走らない(一般ランナーとしての個人的な見解です)。本番でないと、フルマラソンがどんなものか身をもって感じることがない。
もう一つは、トライアスロンを趣味としている方に一言アドバイスをもらっていた。それが、
「最初の30kmは我慢」
最初の30km?? はあ? 30kmに「最初の」という前置きにびっくりした。まさにトライアスロン、特にその最高峰であるアイアンマンレース(スイム3.8km、バイク180km、ラン42.195km)を制覇している人の発想だと感心させられた。が、これは後になってかなりありがたいアドバイスとなる。
初めて地元の深川路を走る。 |
東京マラソンは、新宿の都庁前をスタート地点とし、そこから飯田橋方面に東に走っていく。飯田橋まで5km強あるのだが、そのほとんどが下りの道。沿道にもたくさんの観客が応援してくれるため、まさにハイテンションとなり、スピードが自然と上がってしまうのだ。その勢いで10km、15kmと一気に駆け抜けてしまい、20km過ぎた辺りから急激に体が動かなくなっていくというわけだ。
その経験をまさに初めて参加した時にやってしまった。その時のデータが残っていたが、なんと4分50秒/km(1km走るのに4分50秒かかるペース)だった。このペースで走ると、3時間30分ほどで完走できることになる。あきらかにハイペース。身の程知らずという奴だ。案の定20km過ぎで足が動かなくなった。2回目の時も初めての時ほどではないが、やはり気持ちがはやり、結局同じ様。
1回走ったのにその反省が生かせてない、と言われてしまえばそれまでだが、2回目の時も「我慢」という発想ではなかった。ペースを抑えては走ったが、はやる気持ちを抑え、周囲のペースに惑わされず、一定のスピードで走るというまさに「我慢」の走りではなかった。
今回は、30kmまでは7分/kmと設定した。どんなことがあってもそれ以上のペースでは走らないと決めていた。周りがどんなに速く走ろうとも、70歳くらいの高齢者にどんどん抜かれようとも、そのペースを守った。結果は以下の通り
結局のところ、30kmまでももたず、25km以降でペースは落ちてしまった。「我慢」というとおこがましい結果かもしれない。しかしその「我慢」という考えがあったからこそ、25kmまでは同じペース、そしてそれ以降もトイレや食料補給等で時間を費やしたものの、過去2回ほど歩かずに常に走り、調整不足の中でも完走できた。
最初は突飛だなあと思った言葉が、その意味を掘り下げた上で自分に当てはめると、ピーンとくる、腹落ちすることがあるということ。何がヒントになるのか、何をヒントにするのかは自分次第ということだ。
ゴール地点は今回初めて経験する東京駅丸の内。クリスマスシーズンのイルミネーションで知られる東京国際フォーラムから東京駅丸の内へ続く沿道に、多くの観客が押し寄せ最後の応援を受ける。ここにきて我慢もへったくれもない。体が一気に軽くなりラストスパート。本日最も速いスピードで走った最後の500m。こみ上げてくるものがあった。
沿道の応援を受けラストスパート。 |