それにしても、造語とは不思議なものだ。
誰が始めに言い出したか知る由もないが、その言葉の含蓄や揶揄のセンスを周りの人々が納得し認めるからこそ、世間に定着するのだろう。
イギリスのEU離脱を表す「Brexit(ブレグジット)」 は、Britain(ブリテン:イギリス)とExit(イグジット:離脱)を掛け合わせた造語だが、何故か耳の奥まで届く響きがある。そこには離脱に投票した人が、結果を見て逆に後悔している様も伝わってくる。
(ちなみに、BritainとRegret(リグレット:後悔)を掛け合わせて、Bregret(ブレグレット:イギリスの後悔)という造語もあるらしい。)
今回の結果に対してとやかく言う権利はない。国民投票という民主主義的な手段によって自国の行く末を自ら決めたからだ。己の政治や宗教的な思想を、会社のHPのブログで訴えることは避けるべきだろう。
ただ、心配なことがある。
先日も、バングラディッシュの首都ダッカで無差別殺人があった。邦人にも犠牲者が複数人いるという。昨年から、パリ(フランス)やブリュッセル(ベルギー)、オーランド(アメリカ)でも銃の乱射による事件があった。その他にもテロによる悲惨な事件が世界的に頻発している。
我が日本国も他人事でなく、いつこのような事態が国内で起こっても不思議ではないということだろう。最近ではテーマパークやスポーツ観戦においてもその入場時の手荷物チェックが厳しくなった。石油業界においても、製油所のセキュリティーはより一層厳格化されている。
テロ以外にも世界的な対処すべき課題は多い。オバマ大統領の広島訪問であらためて世界的に核廃絶の機運が高まった。地球温暖化問題もそうだろう。世界のリーダーが手を携えて協調し、このような世界的課題を克服していかなければならない。
今回のEU離脱により「EUから主権を取り戻した」と離脱派は主張している。確かにEUに加盟していることでイギリス国内では多くの問題が顕在化しているようだ。外部の人間があさはかな思考、判断で善悪を主張すべきではないと思っている。
しかし、かつて世界の7つの海を席巻したあの大英帝国だよ。内向き思考は似合わないよ。
そんな残念なイメージも、この「Brexit」という造語からは感じられる。